遅イズムの実践のための実験映画「椿三時郎」
Experimental film "Sanjiro(3h Man)" for the Practice of OSO(Slow)-ism

「文華連邦国際映像祭2023」 (2023.01/21-23) 文華連邦邦、「第3回 遅四グランプリ -速まるな遅まれ-」(2023.02/12)
" BUNKA UNION INTERNATIONAL FILM FESTIVAL 2023 " (Jan.21-23,2023) at Bunka Union, " The3rd SLOW MINI 4WD GP -Don't Hurry! Be Slow!- " (Feb.12,2023) at YUMI ADACHI CONTEMPORARY

映像、ポスター / 3時間17分 / 2023
■監督:黒澤明 ■編集:三原回  ■出演:三船敏郎、仲代達矢、加山雄三、田中邦衛 他


黒澤明監督作品「椿三十郎」のクライマックスの居合対決における三船敏郎演じる椿三十郎の殺陣 通称「逆抜き不意打ち斬り」は、世界最速の抜刀術と言われています。 本作はその最速の居合シーンの抜刀までの張り詰めた時間を3時間(途中15分の休憩 “INTERMISSION” あり)に引き延ばした映像です。
2022年から一部で話題沸騰中(?)の「遅四グランプリ」はミニ四駆の遅さを競う大会ですが、この加速主義時代に遅さを追求するという試みは、まさに現代におけるもっとも贅沢な「遊び」の一つの模範解答ではないでしょうか。
目に見える形での結果をすぐに求められる実利主義・合理主義社会の中でのアートの存在意義が問われている今、そのスピード感にどのような立ち位置で臨むかを意識せざるを得ない現代のアーティストが「遅さ」というものに注目することも必然の流れなのかもれません。
自身も遅四レーサーであるアーティスト 三原回は、遊びの範疇を超えてアート作品の中にも積極的に「遅さ」を取り入れることの重要性を説いており、本作「椿三時郎」はその遅イズム実践のための実験映画です。
しかし用心しなければいけません。スローライフカルチャーの実態が加速主義社会における成功者のための道楽であるように、「椿三時郎」は一見ゆっくりと腰を据えて映画を観ることを推奨している言わばファスト映画の対極の存在に思えますが、その正体はファスト映画批判の皮を被ったもっともファスト鑑賞に適した映画なのです。

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