《INTERMISSION(Quoted from“2001: A Space Odyssey”by Stanley Kubrick)》

「WATOWA ART AWARD EXHIBITION 2021」 (2021.12/20 - 2021.12/26) elephant STUDIO

キャンバス・油彩 / 2021


長編映画の中の INTERMISSION(休憩時間)表示を描くシリーズより。スタンリーキューブリック監督「2001年宇宙の旅」のINTERMISSION。
2016年からアクリル絵具による同シリーズを続けていたが、2019年から油彩による制作を始める。

絵画の鑑賞体験は日常の時間軸に於ける INTERMISSION(休止・中断)であると仮定する。
そこでは時間の幅の制約も、特定の日時の指定もなく、その時間が一瞬であることも永遠であることも認められる。

《INTERMISSION》を展覧会場に掛ければ他の作品たちの間の余白として機能し、プライベートな空間では日々のルーティンから解放された自分だけの時間を演出する。
《INTERMISSION》は、この言わば絵画としての当たり前の性質を記号化して再度意識する試みである。

また鑑賞者はモチーフとなる映画の内容により恣意的、且つ社会的に役割を読み取り、与えることもできる。
例えば、映画史上の重要な作品でありながら、現在の人道的価値に照らし合わせると問題作でもあるD.W.グリフィスの「國民の創生」は、2つの良家が南北戦争によって引き裂かれ没落していく物語から始まり、INTERMISSION を挿み後半は傍若無人に振る舞う黒人や為政者から“正しい白人” を救いだすKKK の姿が英雄として描かれる。立場によって相対的である正義、彼らが絶対的であることを疑わない悪。
現在も未来も本質は変わらず、その前半(過去)と後半(未来)との間に位置する“いま”のメタファーとしての役割を読み取ることもできるだろう。

「WATOWA ART AWARD 2021」準グランプリ受賞・山本菜々子賞受賞作品。

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