《My Home is...》

「2020年の栄光」 (2020.12/19 - 2021.02/14) 第1会場 : YUMI ADACHI CONTEMPORARY / 第2会場 : あをば荘
" Glory of 2020 " (Dec.19,2020 - Feb.14,2021) at YUMI ADACHI CONTEMPORARY & AWOBA SOH


映像、スペース・エイジなインテリア / 7.32min / 2020


水をかけられ興奮したカメが万国旗をなぎ倒しながら泥の中を動きまわる映像作品。
映像に登場するカメは、作家が自宅で飼育しているミシシッピーアカミミガメのウラシマである。
ミシシッピーアカミミガメは淡水の半水棲ガメであるが、なぜか海辺を歩いているところを作家が発見した。そのままでは死んでしまうが、捨てられたペットが野生化した外来種であるため川に逃すわけにもいかず、連れて帰りウラシマと名付けた。

「ウルトラマン」の第23話「故郷は地球」は、ある国の宇宙飛行士ジャミラが水のない惑星に不時着するも国はジャミラを見捨て事故を隠蔽、後に身体がその惑星に適応変化したジャミラは乗ってきた宇宙船を改造して地球へ帰還し、地球人たちへの復讐を試みる話である。
有名なクライマックス・シーンでは、弱点の水をかけられたジャミラが国連会議場前広場で万国旗をなぎ倒し、泥水の中でもがき苦しみながら絶命する。

映像のインストールにはスペース・エイジ風デザインのテレビや家具を使用した。
60年代〜70年代前半のSFにおける近未来像として、キューブリック&クラークの「2001年宇宙の旅」や、日本ではウルトラシリーズや大阪万博などに代表されるように、テクノロジーの進歩によって生活や社会が豊かになった祝祭的な明るい未来のイメージがあった。デザインにおけるスペース・エイジの台頭もそれを象徴するものだろう。
本作を展示したグループ展「2020年の栄光」のメインビジュアルもウルトラシリーズからのサンプリングだが、かつてこういったSFの中で描かれてきた“テクノロジーの進歩で豊かになった、そう遠くない輝かしい未来”というのが時代設定的にまさに今であり、我々はその未来にいるのである。
そして奇しくもそれらのSFが発表された60年代当時、未来への希望を胸に抱いて開催された東京オリンピックの栄光を再びこの未来の東京で再現しようと試みている。
我々の未来は豊かになっただろうか?

installation view

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